WOLFRAMユーザコンファレンス2012京都(6/23)
かなり遅くなってしまったが、WOLFRAMユーザコンファレンス2012京都(6/23)に行ってきたので、メモを晒す。
基本的に自分が興味を持った部分しか書き残していない点に注意。
イベントの詳細はここにある。
http://www.wolfram.com/events/user-conference/2012/kyoto/index.ja.html
ブラウザの言語優先度を見て、日本語ページを出すか英語ページを出すか動的に決定されるようなので、言語優先度が英語になってる人はブラウザの設定変更するか、手で「index.ja.html」みたいにjaをつける必要あり。
また、今日は7/16だが、まだプレゼンのダウンロードはできないようだ。
個人的なまとめ:
- 大学のweb上数学eラーニングシステム構築の話と、ラインアレイスピーカーの話が非常に面白かった。それに比べて営業の人の話は悪い訳ではないけど、製品紹介の側面が強いせいか、面白味に欠けて感じられた(自分的には)。
- Mathematicaは何と発音するのか気になっていたが、発表者によって「マセマティカ」「マテマティカ」「マスマティカ」とまちまちだった。一応「マセ」が多数派のようだった。
- 最後のディスカッションで、学校で導入する為の予算申請が厳しいという話が印象に残った。以下は個人的な愚痴なので飛ばしてよい。
- 学校のえらい人とかは何十年も続けているので「これでよい」という認識なのだろうが、既に現実はドッグイヤー状態であり、あっという間に状況が変化してしまう、ある意味戦国時代に近い状況であり、その「数十年前」基準の教育は足を引っぱる状況すら出ている。学んでおかないといけない事を学校で教えていない、つまり個人が各々で(痛い目をみて?)身に付けるしかない項目が多い反面、現在では検索するなりWolfram|Alphaに聞くなりすればいいような事を冗長に教えている。例えば、本当に重要なのは「この場面では微積分を使う事で、どちらが良いのかが分かる」という判断ができるという事であって、それ無しに「微積分のやり方」だけ勉強してもほとんど意味がない。しかも後者は現在ならWolfram|Alpha等を使ってコンピュータにやってもらえる時代である。全くもって以下略。
メモ本編:
↓
開始まで
- 道に迷いつつ会場へ
- 受付で名刺を渡し、プログラム(スケジュール表)、パンフレットたくさん、ボールペン、アンケート用紙、タグ(首にかける奴)の入った袋をもらう。どれも紙質が良く、全体的に金かかってるというイメージ
- 会場は参加人数の割にでかい講義室というかホール。会場がでかいせいで人はまばらに見えるがそこそこの人数来ていた様子。
- ホールの座席は全席に収納型デスクとLAN接続口とコンセントが完備のようだった(自分は使ってないのでこのイベント中も使える状態だったかは不明)。
- 機材トラブルで当初、中央スクリーンとマイクの音が出なかった(途中から直った)。
京都コンピュータ学院校長挨拶
WOLFRAM北島さん挨拶
(すいません、メモがごっちゃになっていて上記お二方の話の内容がごっちゃになってしまってます)
- 「計算の時代」
- かつてのサンマイクロシステムズ製コンピュータのキラーアプリは「TeXとMathematica」
- 単なる「検索」ではない「計算」
- PDFに代わる、CDF(Computable Document Format)ファイル
- 計算知識 >> 死んだ情報
Mathematicaを使った授業成功の秘密
- オライリーのMathematica本は、Mathematica自身によって(.nbか.cdfとして)書かれ、MathematicaによってTeX出力されて、出版されたそう
- 資料の作成
- 動くデモ入りの資料を作れる。パラメータ等をいじって試せる
トランジションによるスライドショーのグレードアップ
- 最初に、pptの編集画面が出てからpptっぽいプレゼンはじまったと思ったら、実はそれはMathematicaでpptっぽいプレゼンを作ってみるテストだった
- このあたりの見た目や動きはすべてスタイルシートで変更が可能との事
- スライドショー自体を制御するツールバーもMathematicaのCell式によって書かれている。これをいじる事で、ページが切り替わった時にエフェクトをつけたりできる
Wolfram|Alphaで、知識、計算、自然言語を融合する
- モバイルで使える
- iPhoneのSiriとの連携
- 画像をアップロードして、画像処理の関数にかける事ができる
- つまり、画像加工ツールとして使える
Mathematicaによる解析、可視化、シミュレーション
- 多くの形式のファイルをImportしたりExportしたりが可能
- マルチパラダイムなプログラム言語
- Factorialをいろんな書き方で書いたサンプルなど
- ランダムウォークをやってみるサンプル
- Cのコードを生成して使う等
- LaTeXでの出力、およびLaTeXから数式を取り込んで計算する等
- 出力の方は問題ないが、取り込みの方はTeXの仕様的にどうしても一部不完全にならざるをえない部分がある様子
昼飯
- 会場の一階に昔のPCがたくさん置いてあるので見物した(PDP-11とかでかいのがたくさんあった。しかしIBM5100はなかった)
- 昼飯は天下一品。これであと数年は天下一品に行かなくてすむ。
- なんか学生が異様に多かった
Wolfram SystemModelerによるモデリングとシミュレーションと解析
- これはMathematicaとは別枠の新製品との事
- もらったパンフレットもこれは英語版のみだった
- Mathematicaの*.nbから「WSMLink」でSystemModelerにアクセスしたり、逆にSystemModelerから「MathLink」でMathematicaの*.nbにアクセスしたりできるとの事
- 「現実をモデル化する」というコンセプトとの事
- ドラッグ&ドロップベースの操作
- また「ワールド」コンポーネントを作り、そこで重力等の環境設定を行う
- 全体的に、可視化を重視されてるよう
- ハイブリッドモデリング
- 回路やコイルに電流とか流した際の影響を反映したり等が可能
CDFテクノロジーを使ったコンテンツのオーサリングとデプロイ
- CDFによって、静的な絵や文章では表現しづらいものを表現できる
- 営業の人が、客先でcdfファイルを使って直にデモとかできるという話
webMathematicaによる大規模数学教育支援システム
- 大学一年生800人向けに、ブラウザベースのeラーニングシステムを、webMathematicaを使って構築した
- 数学の答え合わせは、何通りもの正しい答えの書き方がある為、ある答えが正しいかどうかを機械的に判断するのは通常は困難。そこで、答えが正解と同一かどうかの確認をwebMathematicaにやってもらう
- ページ名は「MATH ON WEB」。大阪府立大学のサイトにて誰でもアクセス可能として公開中
- → http://www.las.osakafu-u.ac.jp/lecture/math/MathOnWeb/
- 目的とか利点とかは、上のページから辿れる「webMathematicaとは」のところに詳しい
- → http://www.las.osakafu-u.ac.jp/lecture/math/MathOnWeb/
- このシステムの実際の処理は、「ユーザの入力をMathematicaで解析し、間違いのパターン毎に、対応するメッセージを表示させる」だけ、との事
- このシステムは、MathematicaとwebMathematicaとTomcatによってCentos上に構築されてるとの事
- 昔はmacで運用していたとの事。上記ページの「Technical Notes」のところの解説はその頃のものの様子
- 問題登録は、Mathematicaのコードで、ベタに正解判定および不正解のパターン別の判定を書いてるとの事。
- しかし毎回書くのもしんどいので、判定部分だけ別登録できるようにする等の工夫をしているとの事
- 利用者数は、大学の前期は多いが、後期に入ると減ってしまうそう
- jQueryによる仮想パッドを使って、Mathematica記法を楽に選択できるものを構築中との事
- 問題の自動生成
- 要は、式の骨格はそのままで、乗数などが毎回ランダムな数値になるようなもの
- 尚、これとは違う、シミュレーション型コンテンツも昔やってたとの事
- スライドバーを動かすとグラフが変化するようなもの
- 上記ページの「旧システムの教材利用はこちらから」のリンクのものだと思われる
ラインアレイスピーカーの距離減衰計算と防災放送で発生するエコーシミュレーション
- ラインアレイスピーカーとは、普通のスピーカーを縦に何個も積み上げたようなもの
- スピーカーの近くでは各スピーカーの波長が揃わず、遠くでは波長が揃うので、ハウリングが起きにくい等のメリットがある
- 亜種として、ホーンアレイスピーカーというのもある
- 積み上げられた上の方のスピーカーほど小さくなっているものの事のようだ
- このラインアレイスピーカーの、距離による音の減衰率をMathematicaで計算してみたところ、「あるポイントよりも、そこより少し遠いポイントの方が音が大きくなる事がある」という事を示すようなグラフ結果が出た。そこで実際に音量を測定してみたところ、実際にその通りだった、という事が分かったそう
- 上記の話とは別の話。防災放送で、音は聞こえてるけど内容が聞きとれない時がある(何重にもエコーがかかって聞こえるような状態の時)。これをMathematica上でシミュレートした
- *.nbファイルにて、ある地区の防災スピーカーの位置図(地図)があり、そこで聞きとりテストをしてみたいポイントを選択してから、再生ボタンを押す事で、wavelet変換された「その地点での音」が耳で聴ける
- これによって、「どのぐらい聴き取りにくいのか」を人間が判断できる
- 他の要因による、スピーカーの音のひずみ等も可視化したり、実際にシミュレートしてみた音を聴いたりできる
- ここのスピーカーの会社の営業の人は、こういうcdfファイルを使って営業しているとの事
- *.nbファイルにて、ある地区の防災スピーカーの位置図(地図)があり、そこで聞きとりテストをしてみたいポイントを選択してから、再生ボタンを押す事で、wavelet変換された「その地点での音」が耳で聴ける
Wolfram Finance Platformで金融ワークフローも最適化
- これも新製品。パンフレットなし?
- しかしこれは新製品といっても、中身はほとんどMathematica8のままで、そこに「Wolfram Finance Platform」のバナーと、メニューの一番上に「Wolfram Finance Platform」の項目があるだけ、との事
- 新機能、追加機能
- Wolfram社は、基本的に統合化された「All in One」なパッケージを出していく方針だそう
- なので、このWolfram Finance Platformもこういう形らしい
ラウンドテーブルディスカッション
- 質問された方には記念品送呈との事
- 色々と質問があったがものすごく雑多だったので、自分の興味のあった質問だけ残す
- (先のeラーニングシステム作られた先生に対して)「うちの学校でもMathematica導入したいけどライセンス費の予算申請が通らないので、こうしたら通りやすい、とか、Mathematica導入してこんなに改善された、みたいな事例があったら教えてほしい」
- 「残念ながら無い。学校はそれまでMathematicaなんか無しでやってきたので、『どうしてもMathematicaじゃないと駄目なの?別にそんな事ないでしょ、これまで無しでやってこれたんだから』と言う理事クラスを説得できない」
- (他の方)「学校だけじゃなく、会社も似た感じ」
- 「(会社の場合)とりあえず自分だけでも使い始めて、それで実際に成果を出してみせるところから始める」
- (先のeラーニングシステム作られた先生に対して)「うちの学校でもMathematica導入したいけどライセンス費の予算申請が通らないので、こうしたら通りやすい、とか、Mathematica導入してこんなに改善された、みたいな事例があったら教えてほしい」
終了
- アンケートと名刺とタグを渡して帰る。