「数学を勉強する意味」について

これを読んだ。

「この元発言者は甘い/甘えている」というのは自分もそう思うが、それは置いておく。
問題なのは、誰も「数学を勉強する意味」に具体的に答えていない事。絶望した!
(「それ自身は役に立たないけど、考える力がつく」みたいなのばっかりだった。ありえん。)
ので、書いてみる。


最近のRPG的に説明すると、「上位スキルを取る為には、地味な下位スキルを取っておく必要がある」という事。
要は、スキル「経済学」を取る為には、スキル「数学」(経済の良さ等の度合い等は普通に数値で表現され、それを「計算」する事が求められる)と、スキル「歴史」(経済学は世界の過去の大きな出来事をデータとして、理論等が考え出されている)が必要、という事になる。

  • ちなみに、スキル「数学」は、経済学以外でも現代の学問/技術の大部分が要求する基盤スキルであると同時に、このスキルが高ければ、「現代社会を生きる際に、損をする度合いを減らし、利率を向上させる」効果(例えば、保険に入った方がいいのかどうかを決める時とか、ギャンブル的な行動をする際の見積り等)や、「相手の主張内容が(数学的に)正しいかどうかを判断する事で、相手の主張の信用性レベルを簡易判定できる(事もある。できない事もある)」効果が期待できるので、地味なものの、単体で取っておいてもまず損はしないと思う。
    • 勿論、仲間の誰か一人が習得していればそいつに任せればいいが、現代人は常に集団行動をする訳ではないし、他人に任せる場合は、本当にそいつが常に信用できるのかという問題が常につきまとう。

なお勿論、学校では、このスキルツリーが明示的に図示されたりするような事はないだろうし、そもそも説明自体、なされる事はほとんどないだろう。


ところで、スキル「経済学」を取りたいとして、スキル「経済学」を取る際に要求される、スキル「数学」の内容というのは、スキル「数学」全体ではなく、その中の一部は不要であり、例えば幾何学とかはスキル「経済学」の取得には不要だろう(多分。実際どうなのかは知らないので、もしかしたら必要かもしれないけど)。
それならば、スキル「数学」の内、スキル「経済学」に必要な部分だけマスターしておくだけでいいだろ!という風にも考えられる。
しかし、現状ではそれはできないルールになっている。
何故か。
それは、この教育制度というものが、昔に作られたものだから。
昔はコンピュータ等なかったので、大量の児童に効率的にこれらのスキルを取らせる事を目的とする場合、箱物として管理する以外なかった。
(つまりこの管理方法であれば、「中学校を卒業している」=「英語、数学、理科等の必須科目をとりあえずセーフ以上の成績で完了した」みたいな事が簡単に判別できる、というような事。)
勿論、今ならば、そういう細かい情報はコンピュータにでも入れて管理できるが、制度というのは柔軟ではないので、害悪であっても当分このままであろう、少なくとも日本では。
(現在の段階で、そういうのを求める場合は、塾やら家庭教師やらしかないように思える。)
あとついでに言うと、人のあふれる現代社会では、交渉学というか人づきあい学は間違いなく必須だと思うのに学校の授業には入っとらん。実戦で学ぶ機会(学校での人づきあい)はあるものの。なんというOJT。怪我人続出だ!

  • 他にもそういう科目は結構ありそう。情報リテラシー学(名前は適当)みたいなのとか。
  • というか自分もちゃんと学びたいんですが。この辺。


追記:

  • しかしよく考えると、スキル「数学」と、学校で勉強する「数学」は、同一のものではなかった。
    • 学校で勉強する「数学」は、「計算のやり方」ばかりがメインで、「それが具体的に何を意味するのか」「それは何に適用できるのか」という点についてはほとんど教えていないように思える。
      • どうしてそうなったかも想像できる。「計算結果が正しいかどうか」は素早く大量採点できるが、「正しく理解できているかどうか」は素早く大量採点できないからだ。だから、「計算結果が正しい=正しく理解できている」という、間違っているとはいえないが正しいとも言いがたい前提で、判定基準を定めてしまった問題だろう。明らかに仕様に問題がある。
      • 実際問題として、今の時代、計算自体は(wolfram alpha等の)コンピュータにやらせればいいんだから、「計算のやり方」を丸暗記する意味はない。
    • 微積分のやり方だけ知っていても、それが何を表わしているのか、それをどう使えばいいのか理解してなければ、何の役にも立たないと言わざるをえない。


今日のまとめ:

  • スキル「数学」は、現代の学問/技術の大部分が要求する基盤スキル。
    • また、効果こそ地味なものの、これ単体でも充分役立つ効果が色々と得られる。絶対に損はしないから取っとけ。
  • 学校で教えられる「数学」は、スキル「数学」とは別物。単体スキルとして役に立つ代物ではない。
    • しかし、学校等での判定は、学校数学の可否による為、上位の学校に進むには学校数学でいい点を取る為のコストを支払わなくてはならない。
  • 学校での教育システムは古く、色々と問題がある。しかし当分改善はされないであろう。
    • 個人最適化はなされていない(全体最適化は一応されているが、昔基準なので、全体最適化すら適切とは言いづらい)。
    • 個人最適化したい場合(例えば、時間効率よく上位スキルだけを取りたい場合等)、今のところ、塾やら家庭教師やらの手段しかない。金銭コスト悪いし、学校行く事で得られる各種付属メリット(人脈ができるとか等々)が得られづらい。
    • 現代での必須スキルと思われる、人づきあい学(仮)や情報リテラシー学(仮)等が教育項目に含まれていない。